高校生にとって学部選びは大きな分かれ道ですが、親としてはやはり「この学部で学んで将来のキャリアにつながるのか?」と気になります。特に「商学部・経営学部・経済学部」は名前からは違いがわかりにくいもの。実際に大学のHPやオープンキャンパスで説明を聞いても、「何がどう違うのか」が整理しきれないと感じる保護者も多いのではないでしょうか。
今回は、首都圏の大学を例にしながら、親目線で3つの学部を比較してみました。
商学部・経営学部・経済学部の違い比較表
観点 | 経済学部 | 経営学部 | 商学部 |
学問の対象 | 社会全体の経済の仕組み(マクロ・ミクロ経済、国際経済など) | 企業や組織のマネジメント(戦略・人事・マーケティングなど) | 商業活動全般 (流通・会計・金融・マーケティングなど) |
アプローチ | 理論・数理モデルを使った分析 | ケーススタディや事例研究が多い | 資格や実務スキルに直結 |
主な科目 | 経済学史、統計学、計量経済学、公共政策 | 経営戦略論、経営組織論、マーケティング論、会計学 | 簿記・会計、ファイナンス、流通論、貿易論 |
就職・進路 | 官公庁、金融、シンクタンク、メーカー、コンサルなど幅広い | メーカー、商社、IT、金融、コンサルなど企業経営に関わる業界 | 金融、流通、小売、会計士・税理士、営業など実務直結 |
学問の性質 | 理論重視(数学を多用することが多い) | 実務と理論のバランス型 | 実務重視、資格やビジネススキルに強い |
特徴 | 経済全体を理解する力を育成 | 組織を動かす力を育成 | 商業・流通・会計に強み |
主要大学の学部設置状況(首都圏)
実際に東京・神奈川の主要大学では、以下のように学部・学科が設置されています。
経済学部 | 経営学部 | 商学部 | |
東京大学 | ◯ | ー | ー |
早稲田大学 | ◯ (政治経済学部: 政治学科・経済学科・国際政治経済学科) | ー | ◯ |
慶應義塾大学 | ◯ | ー | ◯ |
明治大学 | ◯ (政治経済学部: 政治学科・経済学科・地域行政学科) | ◯ (経営学科・会計学科・公共経営学科) | ◯ (3年生以降コース選択制 全7コース) |
青山学院大学 | ◯ (経済学部:経済学科・現代経済デザイン学科 国際政治経済学部:国際政治学科・国際経済学科・国際コミュニケーション学科) | ◯ (経営学科・マーケティング学科) | ー |
立教大学 | ◯ (経済学科・経済政策学科・会計ファイナンス学科) | ◯ (経営学科・国際経営学科) | ー |
中央大学 | ◯ (経済学科・経済情報システム学科・国際経済学科・公共環境経済学科) | ◯ (国際経営学部) | ◯ (経営学科・会計学科・国際マーケティング学科・金融学科) |
法政大学 | ◯ (経済学科・国際経済学科・現代ビジネス学科) | ◯ (経営学科・経営戦略学科・市場経営学科) | ー |
一橋大学 | ◯ | ー | ◯ |
横浜国立大学 | ◯ | ◯ | ー |
横浜市立大学 | ー | ー | ◯ (国際商学部:国際商学科) |
東京都立大学 | ◯ (経済経営学部:経済経営学科 経済学コース) | ◯ (経済経営学部/経済経営学科 経営学コース) | ー |
このように、経営学部と商学部は似ているため、どちらか一方のみを置く大学が多いことが分かります。両方を持つのは、明治大学と中央大学など限られています。
まとめ
今回の比較から見えてきたのは、商学部・経営学部・経済学部には重なる部分も多い一方で、大学ごとに特色がはっきり異なるということです。
- 経済学部 → 理論を重視し、社会全体の仕組みを分析
- 経営学部 → 組織や企業をどう動かすかを学ぶ
- 商学部 → 会計や流通、金融など実務に直結するスキルを磨く
高校生が学部を選ぶ際には、名前のイメージだけで判断せず、実際にオープンキャンパスや大学HPで学べる内容を確認することが大切です。保護者としては、単に「就職に有利かどうか」だけではなく、
- 子どもの得意分野はどこか
- 将来どんな働き方をイメージしているか
を踏まえて、一緒に進路を考えるのが安心だと思います。
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